「母さん、俺、受験生だよ?

そんな、海に行くなんて…」



「私はいろいろ忙しいから…」




忙しい、というのは結城のことだ。



この恋愛馬鹿は毎日毎日熱心に学校に通っている。



言っとくが目的は、勉強じゃない。



こいつの目的は…




「明日は結城くんの試合…明日は結城くんの試合………えへへ………」




とまあ、こいつは熱心に結城の練習風景を覗きに、もとい見に行っているわけだ。



ちなみに俺は毎度のこと練習見学に付き合わされている。


一人で行けよ、一人でよ。




…まあ、というわけで、明日が試合だと知っているのもその成果、と言える。




………ただ、これは世間一般にストーカーと呼ばれかねないので正直不安だ。



陰ながら、そっちには走らないように気をつけているのは俺の兄としての優しさだろうか。