何にせよ、相手の顔が確認できてよかった。



知り合いだったというのも大きい。



性格に少々難ありだが、結城は悪いやつじゃないし、中学のときからやたらに俺を慕っている。



もちろん、男に慕われて喜ぶ趣味はないが、今回に限っては嬉しいかぎりだ。



片思いの相手があいつなら、俺も協力してやれる。



少なからず俺の苦労は減った気がする。




「よし、とりあえず朝のあいさつからだ。

教室に入ったらちゃんとあいさつしろよ?」



「う、うん…」



「それと、あまり急ぎすぎるな。

お前、めちゃくちゃなこと口走りすぎ」



「本音を言っただけなのに…」




これまた変なことを言うやつだ。



本音?



あれが全て本音?



こいつはどんだけ結城に惚れてるんだか。