少女は、少し躊躇っていたが、湊がバッと目の前に手をやると、しぶしぶそれを外した。



そして、湊はそれを受け取ると、恐る恐るそれの一部一部を調べ始めた。




(特に変わった様子はないな…)




何度、どこから見ても、それには妙な部分はなかった。



しいてあげるなら、やはり無駄に多い時計である。




「タイムマシン………」




そう一言つぶやき、湊は妙な感情を覚えた。



心のどこかをくすぐられたような、どことなく探求心に近い感情だった。



「なあ、えーと………


………そういや、お前の名前って何?」




今さらである。



出会ってからすでに一時間は経っているとゆうのに、お互いに自己紹介すらしていなかった。



少女は、湊の言葉に少し虚ろな視線を返し、それからまたうつむいた。