ホワイトデーまでの賭け(短編)


「俺たち、やり直せるのか?」



鼻水をすすりながらそう聞くと、琴絵は静かに頷いた。



そして、1歩2歩とお互いの距離を縮めていき、手を取り合った。


「ごめんなさい。仕事と子どもたちのことと家事とで精一杯になてたみたい」



琴絵も泣いていた。俺は黙って頷くしかなかった。


「羽月(ハヅキ)は卒園だから、学校の準備もあるでしょ?だから、不安ばかりで……そんな時いつもあなたはいなくって苦しかったの」



少しづつ吐き出される妻の不安と不満に俺には初めてのことで、こんなにも彼女を苦しめていたことに驚いた。