翌日。




「阿部くん、バレンタインの日結局いなくてわたせなかったよね~」

「谷口さんに渡して貰うか」

女子達の会話が聞こえる。



「谷口さんって阿部くんと幼なじみなんだよね?」


5人に囲まれちゃ彼女ですなんて言えないよ。


「あぁ、まぁ」
冷たかったかな?


「これ渡しておいてくれる?」

「阿部孝裕に?」




「いつまでフルネームなんだよ。彼女にフルネームで呼ばれるとか、悲しいんですけど」


阿部孝裕は私の頭に顎をのせそう言い放った。