2007年
季節は…夏の始まり。
初夏を知らせる木々の緑。
太陽からの光がアスファルトで反射し、あたしたちに容赦なく浴びせられる。
「次のペア替え、ちい祐紀ちゃんになる気がする」
「うちもそんな気がする!ちいだったらいいな」
そう言って笑いあってた。
それはあたしたちの予感であり
未来でもあったよね。
林千尋 中学二年生14歳。
●●市立某中学校
女子ソフトテニス部。
休日の、午前中の部活で、ペアの変更が発表された。
顧問の天野から、番手順に新ペアが呼ばれていく。
チラッと祐紀ちゃん、フルネームは吉野祐紀ちゃんの方を見る。
いつものおっとりした表情で、彼女は先生を見ていた。
「次、五番手…」
思わず、ギュッと手を握って祈ってしまった。
そして…
「吉野、林」
「「きゃあぁあっ」」
10番手中5番手と言う立場だったけど、祐紀ちゃんとなれたことがすごくうれしかった。
思わず駆け寄って、手を取り合う。
「よかったね!」
「よかったよかった!!」
本当にうれしかった…。