私達は歌いたい曲を鼻歌でうたいながら、校庭の生徒がぞろぞろと移動するのを待っていた。


「も、いんじゃない?」

チエの合図で私達は校庭を横切る。


たくさんの生徒に紛れれば目立たないだろう、という作戦。




その時、


春特有のあたたかい風がぶわっとまきおこった。


校庭の桜が大きく枝を揺らせてたくさんの花びらを舞わせる。



ドキンッ!



何これ。


なんか私の体が勝手にこの桜に反応するように…泣いてる?


いつのまにか私の目から一筋涙が伝っていた。




おかしい。

おかしいけど、

動けない。