………



もう無理。



もうダメ。



もう限界。



俺は菜々美をさらに強く抱きしめると肩口に顔を埋めた。



「菜々美…部屋入って…」



そして小さく呟いた、



瞬間…



「…い…」



「えっ?」



……



またかよっ!!



とことん俺の邪魔しやがる“い…”って…



なんなんだよっ!!



俺はチッと軽く舌打ちすると眉間に皺を寄せながらバッと顔をあげた。



「あっ…」



すると目の前には瞳をうるうるさせながら上目遣いで俺を見る菜々美がいて…



「えっと…菜々美…サン?」



「…まい…」



「は?」



「あまい…」



「あま…い?」



「うん…。」



俺はコクリと小さく頷く菜々美を見つめながらポカンと口をあけた。