俺…



マジバカ…



普通じゃないモン作っちまったんだから、一応カミングアウトしなきゃいけなかったのに…



あん時の俺…



なんでそんな簡単なコトに気づかなかったんだろ…。



はぁ…



マジ情けね…。



こんなコトになんなら工藤サンの言うこと素直に聞いて、



タクシーでもなんでも使ってチョコ買いに行きゃ良かった…。



俺はもう一度大きなため息をつくとチラッと菜々美を見た。



「えっ…」



すると目の前には、また、“ガトーショコラもどき”を摘み口に運んでいる菜々美がいて…



「菜々…なにして…」



「えっ?“なに”って…コレ食べてる。」



俺は平然とパクつく菜々美を見つめながら目を見張った。



「だってソレ…」



「美味しいよ。」



「んなまさか…」



「だ~か~ら、もうっ!!そんなに疑うんなら食べてみなよっ!!はいっ、あ~んして。」



「えっ…」



俺は指で一掴みした“ガトーショコラもどき”を唇にくっつける菜々美を見つめながら口元を引きつらせた。