「菜々…美?」



「コレ…開けていい?」



「おっ…おぉ。」



菜々美はピンク色のリボンを丁寧に解くと、



「根っこ出てる…。なんか寒そう…。」



「だな…」



こぼれ落ちた小石を鉢に戻した。



「コレ…」



「ん?」



「“ラブラブハート”…だよね?」



「だな。」



そして、俺からまたラブラブダブルハートへと視線を戻すと、



「懐かしい…」



ハートの形をした葉っぱの片割れをツンツンっと人差し指でつついていた。



なんか…



いや、



これってまさに“結果オーライ”ってヤツ…だよな?



うんうん。



俺はニコニコする菜々美を見つめながらひとり頷いた。



っていうか、



すげぇよ…



“アイツ”。



さっすが“ダブル”なだけあるな。



いい仕事しやがる…



「ねぇ…創。」



「ん?」



突然、口を開いた菜々美へ視線を戻すと俺は首を傾げた。



「覚えてる?初めてのバレンタインのこと…」



「あぁ…」



“アイツ”のコトね。



俺が一週間で枯らした“アイツ”のコトね。



はははっ…



俺はイタズラな笑顔を浮かべる菜々美を見つめながら苦笑いを浮かべた。