「あの…とりあえずコレ…」



「えっと…失礼ですが、」



「はい?」



「お客様は、“彼女サン”…いらっしゃるんですよね?」



「…は?」



突然、オニーサンの口がした言葉に俺はポカンと口を開けた。



彼女って…



「あっ…スイマセン。間違って…」



「いや、いますっ!!まだ、いますっ!!まだフラれてませんっ!!」



そう…



まだフラれたわけじゃねぇし、



菜々美は俺の彼女。



…のはず。



うんうん。



「そうですか…。良かった…」



…?



俺はあからさまにホッとした表情を浮かべるオニーサンを見つめながら首を傾げた。



良かった…って、



なにが“良かった”んだ?



う~ん…



はっ!!



まさか…



俺はオニーサンの両肩をガシッと掴むと、



「オニーサン!!マジいい人っ!!そんっなに俺と菜々美のコト…」



「は?」



キョトンとするオニーサンを見つめながらコクンっと小さく頷いた。



そうだよ。



このオニーサン、



きっと俺達のコト…



そして勝手に感極まった俺は、



「オニィーサァーンっ!!」



「えぇ!!」



店の前にも関わらすオニーサンに抱きついた。