「プロポーズ…か。」



いったんウチに帰った俺は、昨日作った“ガトーショコラのようなモノ”を箱に詰めると菜々美のアパートとへと向かっていた。



「指輪…か。」



そして一軒のジュエリーショップの前で立ち止まるとドアの前からボーっと店内を眺めた。



菜々美…



やっぱ“結婚”とか考えてんのかなぁ?



まぁこの1年、会社の同僚やら先輩やら友達やら…



なんだかんだ言って何回か結婚式呼ばれてたみたいだし…



先月なんか高校ん時の親友の結婚式行ってたし…



う~ん…



やっぱ結婚…



「って、ダメだっ!ダメだぁ!!」



俺はブンブンと頭を振った。



俺…



貯金無いし…



まぁ借金無いだけマシなんだろうけど…



でも…



はぁ…



俺は大きなため息をつくと再び、菜々美のウチへ向けて歩き出した。



「はぁ…」



そして…



ガンっ!!



「あっ!!」



何かを蹴飛ばした俺は、俯いていた顔をパッとあげた。