「あれ?工藤サン。もう終わっちゃったんっすか?さっすがっ!!仕事早っ!!俺がやってたら間違いなく朝までかかちゃってましたねぇ。はははっ…」



ここを回避するには“笑って誤魔化す”しかねぇ!!



般若の仮面を被る前に、なんとかして逃げなければ…



「いやいや、マジスゴいっすよっ!!仕事の出来る男ってカッコイィ!!マジヤバいっすね。」



俺はヘラヘラと笑いながら一歩、また一歩と後ずさった。



がっ、



「あっ…」



俺は突然伸びてきた手に捕まってしまった…。



ヤバい…



殺される。



『蛇に睨まれたカエル』ってこういうコトを言うのか?



俺は額にじっとりと汗をかきながら、椅子に座ったまま睨みあげてくる工藤サンから目を逸らすことができなかった。



「結城…」



こっ…殺されるっ!?



「はっ…はは…はいっ!!」



そしてポツリと呟いた工藤サンに、どもりながら返事すると、



「あ~疲れた。腹ヘった。飯、食いに行くぞ。…もちろんお前の奢りで。」



「…は?」



俺は突然立ち上がり、ニコっと悪戯な笑みを浮かべる工藤サンを目の当たりにしてしまって…



「おっ…“鬼の霍乱”だぁ~!!」



「はぁ?意味わかんねぇ。俺、元気なんですけど…。」



鬼のつく、なんとなく知ってる言葉にのせて、つい本音をポロリと吐いてしまった…。