「そういやさー」

「なに、また佐久間?」

「いやいや、明日ね転校生来るんだって。」

「はぁ!?今3学期だよ」

「でしょー、ヘン……だよね。」

「変だよ、思いきった転校だね」

「それがさー帰国子女らしいよ」

「ふーん」

「あ、ルイまたどうでもいいって目した!」

「だってさ…今里奈、あれだけ佐久間、さくまって話してたくせに~」

「かっこよかったら……」

「どうしようって……」

そこで私と里奈は顔を見合せて噴き出した。

「まだ男か女かわかってないってのにさ…、里奈ったら…あははは」

「…っるさいなー、それが女ってもんでしょー!」

「ポジティブ過ぎだよ里奈は」

頬を膨らまして拗ねたふりは里奈の得意な表情だ。
笑えば笑うほど、私はちょっと寂しかった。
たわいのない話。
どうでもいい会話。
これがあと3か月無いうちに終わってしまう。
ちょっとだけ、学校が楽しいかなって
思い始めた頃に楽しいことは終わってしまう。
卒業したら、何かが変わってしまう気がする。
何かが終わってしまう気がする。

(……里奈とだって)

そんなさみしさを押し込めて
ひとしきり笑いまくった後
私と里奈はまたあしたね、と別れた。