迷子のコイ

「・・・あの・・・ 
 もしかしてその人って、女の人じゃなかったですか」


「ああ。 彼女を殴った人?
 そうよ、40代くらいの割ときれいな・・・」




( ―――――やっぱり――――― )


私の思ったとおり、アイリの傷は
カケルの母親につけられたものだった。


「・・・ヤダ・・ひどいわね・・・・・」


アイリの顔を見るなり、
看護士さんは目を丸くして驚いた。



「中に入りましょ、処置するから」


そう言われてもまったく反応しないアイリを
2人ががりで無理矢理病院の中へと入れた。



「全身打撲みたいな感じだから
 あまり処置の仕様もないんだけど」


そう言いながら看護士さんは
アイリの上でにシップを貼ってくれた。

冷たいシップを貼られながらも
アイリは微動だにしない。


・・・多分いまアイリの頭の中にあるのは
カケルのことだけだ。


昨夜、家に帰ったあと
電話で病院に問い合わせても、
『家族じゃないから』って
その後のカケルのことは教えてもらえなかった。


カケルが無事だってこと、
それさえわかればアイリだって――――――。