迷子のコイ

―――――――案の定、病院につくと
病院の外に
アイリはひとりで立っていた。


「・・・アイリ!」


アイリを見つけてホッとした私は
思わず笑顔になって、
アイリのもとへと駆け寄った。


そしてアイリのカオを見て、驚愕した。


――――――アイリの左頬は
誰が見ても腫れ上がり、
細い腕には青いアザが無数にできている。


( カケルの母親だ! 間違いない! )


私は直感していた。



「・・・ひどい・・・なにこれ・・・」


あたしはアイリの腕をとり、言った。


「中、はいろ?
 看護婦さんに診てもらったほうがいーよ!」


けれどアイリは
私の声なんか聞こえてないように
ただ宙を見上げている。


手をひいても、その場から動こうとしない。



( 私じゃ、ダメだ・・・ )


私はアイリを一旦その場に置き去りにし、
ひとりで病院の中に入って行った。


そしてひとりの看護士さんに声をかけると
その看護婦さんはすぐに
アイリのことがわかったみたいだった。



「ああ、あの子だったの」


アイリを見かけた途端、
その看護士さんは言った。


「・・・『あの子』って?」


私は思わず聞き返す。


「あの子、ね、私も見ていたんだけど
可哀相だったわよ。
・・・上から、引きずられるように
降りてきたと思ったら、殴られて・・・・・。
病院のスタッフや患者さんが
必死になってとめたんだもの」