迷子のコイ

「・・・ん・・・」


目が覚めたとたんに、
私は思い出した。


「アイリ?」


昨日あった、悪夢の出来事を。


「アイリ、どこ!?」


一緒に寝たはずのベッドの片側には
すでにもう誰もいなかった。


( 失敗した! )


そうすぐに思った。

絶対眠らないつもりだったのに、
何やってんのよ!

私は急いでパジャマを着替え、
下の階へとおりていった。


「おばさん!」


「あら、ナギちゃん。おはよう。
 よく眠れた?」


「・・・おばさん、アイリは?
 アイリがいない!!」


「えっ」


「ごめんなさい・・・私寝ないはずだったのに
 いつのまにか・・・」


「いいのよ。
 私たちだって
 あの子がいなくなったのに気づかなかったんだから。
 それよりあの子、一体どこへ・・・」


昨日あのあと、
警察署のほうへと連れて行かれ
私たちは警察から事情聴取をされた。

そこではじめて
私と俊哉も
ふたりの間に何があったのかを知った。

いつも泣いてばかりいるあのコが
その時ばかりは泣かずに
ただ黙々と警察に答えていたことに
私は驚いた。


深夜になってやっと開放された私たちは
迎えに来ていた親と共に帰ろうとした。


でも感情を無くし、
人形のようにうつろな目をしている
アイリを一人にはできずに
私は親にムリを言って、
昨日、アイリの家へと泊まりに来ていた。

ずっと一晩中、目を離さないつもりだったのに・・・。