迷子のコイ

「だれか・・・だれか助けてっっ!!」


流れ出る血を懸命におさえながら
あたしは何度も叫ぶ。

1度だけ、あたしの名前を呼んだきり、
カレは再び目を閉じた。


「・・・だれか助けてっっ!!」


何度、その言葉を繰り返しただろう。

その声を聞きつけた人たちが
向かってくる足音が聞こえた。

あたしは目をこらしながら
その足音の方へと叫んだ。


「誰か・・・助けて!!」


「・・・アイリ!!」


「・・・ナギ・・・?」


「アイリ、大丈夫か?
 ・・・おい! カケル!?」


・・・ナギと、俊哉だった。


ナギは血だらけになってるあたしの手をとった。

俊哉はすぐにケータイで
救急車を呼んでくれた。

救急車が来るまでの間中、
それは今まで感じたこともないような
恐ろしく、長い時間・・・。


あたし達はずっと、
『カケル』の名を、呼びつづけた。