私の1番古い記憶は彼の笑顔だった。



「ふみ、お菓子持ってきたぞ」

彼の家と私の家は隣同士で、彼の親と私の親は子供の頃からの幼なじみ。

いわば私と彼も幼なじみの部類に入るのだろう。

例え彼の年齢が私より20歳年上であったとしても。

「ありがとう。どうせお姉ちゃんのついででしょ?」

私は5人兄弟の末っ子で、5人兄弟と言っても1番上の双子の姉と真ん中の双子の兄に囲まれて育った。

彼は姉達と同じ年で小学校から高校、大学まで同じクラス。

つまり、私より姉達の方がはるかに幼なじみという関係に相応しかった。

「うわぁー生意気な口をきくようになったなぁー」

「ちょっと、オッサン勝手に見ないでよ」

彼はマイペースで自己中。
人の話を全くきかない。

……小学2年の私が言うのもアレだけど、身体だけ大きな悪ガキみたいだった。

「オッサンとはなんだ。まだ27歳という男盛り……って『男盛り』を知らないか」

「『おとこざかり』は知らないケド、7歳よりに比べたらオッサンじゃん」

「それよりココ間違えてるけど」

「えっ!!」

「だっせー足し算も分かんないのかよ」

お腹を抱えて彼は笑う。

ほら、大人気ない。
そんな彼に当然天罰がくだった。