「あのバカを心配する必要はないが……ヤツと同じコトを言ってお願いして」

……予想通り。

「ちょこっと休憩しませんか……えへ★」

両手を頬の横で組み、首を傾げるポーズまで同じにしてみた。吉田先輩がウインクをしなかったコトが救いだった。

「……やっぱ蜜花は可愛いッ!!仕方ない10分間休憩取ろう」

城先輩はさっきの不機嫌な表情とはうって代わりデレデレの表情で私を抱き締め、お尻を撫でた。……初めこそ悲鳴をあげて叫んだものの、これも今では慣れた出来事。

美人の女の先輩にはちょっとだけ変わった点があった。

城七海先輩は自称『可愛い子ちゃん大好き』と周囲公認の『セクハラ魔』というあだ名を持つ安佐高校生徒会長サマ。

吉田先輩曰わく『黙って動かなければ大和撫子なのに……』

更に

「でかした!!蜜花ちゃん」

吉田先輩はガバッと起き上がり、極上の笑顔で私に向かってグーサインを見せた。

「お前は却下。私と蜜花で休憩してくるから、そこのフレーズ10分後までに完璧に演奏出来るように」

「鬼ッ!!悪魔!!!!」

更に、城先輩は男に対して、特に吉田先輩に対してとても厳しかった。

こうして吉田先輩を残して私と城先輩は教室を出た。