幸せな時間はホント瞬く間に過ぎて
また1週間も先生と会えない日が続く。



帰り道、私は先生より半歩後ろにさがって先生の背中を見る。

私のお父さんより先生は身長が低いので、そんなに大きな背中ではないけれど、その広い背中は確かに『男の人』だった。

「先生って身長いくつですか?」

「なんやいきなり」

「ちょっと、気になりまして」

先生は振り向いて私の顔を見る。

見上げれば、すぐそばに先生の顔が。155センチの私が見上げて近くに顔があるなら、そんなに先生は身長が高くないのかもしれない。

「んー……170くらいかな」

「あ、170あるんですね」

意外、160台かと思ってた。

「……ん、今失礼なコト言いませんでしたか?蜜花サン」

「……えへ★」

「「えへ★」やない!人が気にしてるコトを」

先生の拗ねた表情も可愛い。可笑しくなって笑いが込み上げてくる。

「気にしてたんですね」

「失礼な生徒や。……あー……蜜花は背が大きい男の方が好みなん?」

「え、私ですか?私は別に。私より背が高い人であれば」

「……蜜花はチビやもんな」

さっきまで拗ねてたのに、先生は急に笑顔になって私の頭をポンポン撫でて……というか髪をぐしゃぐしゃにしてきた。

「ちょっ、髪を乱さないで下さいよ」

「さっきの仕返しや。あ、お母さん来とるで」

いつもの場所にお母さんの車があった。

「お疲れ様でした」

これで終わり。

また来週。それまで長い日が続く。
毎日でも会いたい、なんて……ワガママなのは分かってるけれど……

「お疲れ様。またな」

「また来週、ですね」

それでも先生の「またな」という言葉が嬉しい、なんて……。どれだけ私は先生に恋をしているのだろう。