毎週水曜日、夜の7時から8時30分。

90分の授業の中で10分遅刻、50分授業、30分お喋り。

大体、いつもこんな感じの流れだった。

10分遅刻なのは車を出してくれるお母さんが仕事でギリギリに帰ってくるから。

50分授業でも先生の教え方が巧いためか、不思議とすんなり理解出来た。

最近では昔より計算問題を早く解けるようになった……気がする。

今日は20問の計算問題を「空白無しで15分で解け☆」って無茶なコトを言われたけど、なんとか空白無しで時間内に解けた。

そして今は先生の解答待ち。5分くらいで先生の手が止まり、赤ペンの音が止む。

「……先生どうですか?」

「お~よく出来ました☆全問正解やで」

ぽんぽんっと軽く頭を撫でられた。

この時の先生の笑顔はとても優しくて、軟らかくて、それを見ると何故か胸が苦しくなる。

締め付けられるような、不思議な感覚。
だけど、それは嫌な感覚ではなくて
甘酸っぱい感覚。

この時の私はまだ『好き』という感覚が分からなかった。