「あのう……先生?」
パニックに陥っていた私が口を開いたのは車が私の家を発進してから20分後のコトだった。
何度も先生と会話を試みようとしたけど
隣で運転をしている先生の横顔を見ただけで
心臓が破裂しそうな程ドキドキして
口から飛び出してしまいそうで
とても話せる状況ではなかった。
ただでさえ先生は
シャツとジーパン姿で
黒縁メガネをかけて
それがまたいつものスーツ姿と雰囲気が違って格好良く見えるから
ドキドキが収まる様子が無くて困るのに。
「ん?」
時折車から流れる音楽の鼻歌を歌って上機嫌な先生。
「これから一体何処に行くのでしょうか……?」
「ヒミツ☆あ、何か食べられないモノってある?」
「特に……あ、小魚とマヨケチャは無理です」
「マヨケチャ?」
「……マヨネーズとケチャップ」
「なんで!?」
先生は驚いた表情で私を見る。丁度赤信号になってよかった。
「んー……なんか無理なんですよ。食べず嫌いってのもあるけど、何か付けるんだったらドレッシングやソースで充分だと思うからです」
「蜜花って若いのに変わってるよな」
先生は私の顔を見てしみじみ言い、同時に信号は青に変わり、先生は車を発進させる。
「そーですか……?」
自分でそのような認識はないけど。
いたってフツーの人間ですから。
「充分変わってるやん。前は『息が白くなる位の寒さが好き』って言ってたし、なんか考えが年寄り臭いよな」
「失礼な……ってかよく覚えてましたね」
他愛もない、些細な会話を先生が覚えていてくれるコトだけでも嬉しいのに
「蜜花って俺と一緒の考えが多いけん覚え易くて。……お、そろそろ見えてきた」
『俺と一緒』って先生は毎回さり気なく嬉しい言葉を与えてくれる。
私は先生に何か与えられないかな……
そう考え始めた時、車は牛丼屋さんのドライブスルーに入っていった。
パニックに陥っていた私が口を開いたのは車が私の家を発進してから20分後のコトだった。
何度も先生と会話を試みようとしたけど
隣で運転をしている先生の横顔を見ただけで
心臓が破裂しそうな程ドキドキして
口から飛び出してしまいそうで
とても話せる状況ではなかった。
ただでさえ先生は
シャツとジーパン姿で
黒縁メガネをかけて
それがまたいつものスーツ姿と雰囲気が違って格好良く見えるから
ドキドキが収まる様子が無くて困るのに。
「ん?」
時折車から流れる音楽の鼻歌を歌って上機嫌な先生。
「これから一体何処に行くのでしょうか……?」
「ヒミツ☆あ、何か食べられないモノってある?」
「特に……あ、小魚とマヨケチャは無理です」
「マヨケチャ?」
「……マヨネーズとケチャップ」
「なんで!?」
先生は驚いた表情で私を見る。丁度赤信号になってよかった。
「んー……なんか無理なんですよ。食べず嫌いってのもあるけど、何か付けるんだったらドレッシングやソースで充分だと思うからです」
「蜜花って若いのに変わってるよな」
先生は私の顔を見てしみじみ言い、同時に信号は青に変わり、先生は車を発進させる。
「そーですか……?」
自分でそのような認識はないけど。
いたってフツーの人間ですから。
「充分変わってるやん。前は『息が白くなる位の寒さが好き』って言ってたし、なんか考えが年寄り臭いよな」
「失礼な……ってかよく覚えてましたね」
他愛もない、些細な会話を先生が覚えていてくれるコトだけでも嬉しいのに
「蜜花って俺と一緒の考えが多いけん覚え易くて。……お、そろそろ見えてきた」
『俺と一緒』って先生は毎回さり気なく嬉しい言葉を与えてくれる。
私は先生に何か与えられないかな……
そう考え始めた時、車は牛丼屋さんのドライブスルーに入っていった。
