その人は一瞬驚いた表情を浮かべ、すぐににやっと笑って、黙ったまま自分の履いているスリッパを指差した。

『……あ』

私達と同じ藍色のスリッパ。

「3組の東城沙也加。さやかって呼んでね♪同じ学年だし。ちなみに希望の楽器はホルン。よろしく」

『よろしく』

沙也加は『美人』という言葉が似合う位の美人だった。

身長は私やふーと違い頭一つ分高く、腰回りは細い。肩より少し長めのストレートの黒髪は、茶色に染めてパーマをかけている一部の女子高生より遥かに『大人』に見えた。

正直、3年生に見えた……ってコトはもうしばらく内緒にしよう。