「蜜花、部活見学していく?」

HR終了後、ふーから声をかけられた。

入学式後、新入生歓迎会で部活動紹介があったので、今日から見学しようか迷っていた。入部をしようと考えているのは中学校3年間続けていたブラスバンド部だった。

「ふーは何か考えてる?」

「中学校ブラスやってたし、とりあえずブラスかな」

「あ、一緒じゃん」

「じゃあ見に行こうよ」

ふーがいるなら心強い。

「いいよ。音楽室だっけ?」

「たしかこの階にあったハズ」

1年の教室は学校の最上階の4階。そのつきあたりに音楽室があった。短い距離だけど音楽室に行くまでにふーとブラスについての話をした。

「ふーは楽器何してたの?」

「なんだと思う?」

質問を返されるとは思わなかった。楽器は色んな種類があるのに。

「えー……ふーって腕細いからフルートとかクラとか?」

とりあえず、ふーに似合いそうな楽器を言ってみる。

「ぶー。これでもでチューバすぅー」

「……え、うそぉ」

チューバは楽器の中でも大きな金管楽器でかなり肺活量が必要とする。

そんな楽器を私より細くて、152センチと155センチの私より身長も低いふーが演奏しているとは思えなかった。

「やっぱり。そんな反応だと思った。蜜花は……アルトサックスあたりかな?」

「……分かり易くてごめんね」

なんだか悔しい。

「イメージ通りだし。あ、見学って出来ますか?」

音楽室は開放されていて、ふーは音楽室の外に立っていた先輩らしき人に声をかけた。