「そんなに怒った顔しないでよ」
「菜都がバカにしたように笑うからだろ?」
完璧に拗ねた俺を見つめ、菜都は困ったように笑った。
ああ、俺、こんなことしてたら、本当にいつか菜都にフラレちゃうかな…。
自傷的にこんなことを思っていると、不意に俺の頬を何かがかすめた。
ハッと我に返って、それが菜都の唇と理解するのに、時間はかからなかった。
「大丈夫だから。私、絶対海から離れてあげないんだから、来年も見れるよ、一緒に!」
「な、菜都…!」
そう半ば叫ぶように言った菜都は、暗い中でも顔が真っ赤になっていることが分かった。

