「あかり…聞いてくれないか?誤解なんだ!」


「言い訳なんて聞きたくない!環境が変わると、哲ちゃんまで変わるの?」


傘を差し出す哲ちゃんが、いるのに素直になれないよ。


「あの人は、会社の先輩。ちゃんと彼氏もいる。たまたま終電がなくなって帰る駅が、一緒だったから、会社持ちでタクシーで帰ってきただけだ…!」


「私、哲ちゃんの帰り、ずーっと待ってたのよ?」


目が合わせられない!


「…淋しい思いさせてごめん!あかり…環境が変わっても俺の気持ちは変わらないよ…!」


哲ちゃんは自分の、スーツを私の肩にかけて。


「信じて欲しいんだ!」


「哲ちゃん?仕事の悩み、私に隠さないで、少しは分けてよ?そうすれば、一人で悩むよりも楽だよ…」


「だな!あかりとずーっと一緒にいたいから、これからは…ちゃんと話すよ!」


そう言って、私を抱きしめた。

やっぱり、哲ちゃんを思う心は変わらない。。


「ごめんね?あかり…」


そう言うと私の涙を手で拭った。


あの卒業式の日と同じように。

そして。


哲ちゃんの優しい声も変わらない!!


「マンネリもいいね?」


「はっい?」


訳が分からない様子の彼に、そっとキスをした。


スニーカーもお似合いだけど…違う靴でも、歩幅を合わせれば心は同じ。


きっとこれからも、横にいるのは私だよね。



雨上がり、手を繋いで。


久しぶりの帰り道。


私たちの未来はこれから…!



end