あたしは多分、
父に似てるんだと思う。

写真もない、
記憶の彼方の父に…

長身で、
髪はストレート、
面長、
色白、
どっちかって言うと美人の部類。

笑うと左頬にエクボができた。

いつの頃からだろう、
母の憎しみの目を
感じるようになったのは…

母は、
あたしに嫉妬していた、
と思う。

「いくら可愛い顔してたって駄目さ、人間所詮は生まれ育ちで分けられちまうんだよ!」

「あたしがこんなに苦労してあんたを育ててるのに、あんたって子は優しくないね」

「そんなに一生懸命勉強したって、家は母子家庭なんだから、大学なんて無理だよ!」

「あんたなんて、生まなきゃよかった!」

幾度となく
繰り返される、
母の言葉。

あたしを卑しめる、
呪いの言葉。

そんな言葉を浴びて、
あたしの心は、
いつしか病んでいったんだ…

あたしは
ただ、
じっと、
その言葉を呑み込んで、
言い返すことなく、
ただ呑み込んで、
そして、
いつの頃からだろう、
母を
憎むようになっていた…