なんとなく沈むあたしを見て、

「なんか、隠し事してるだろ?」

翔一さんが、
真直ぐな目であたしを見た。

「えっ?」

「ユイは顔に出るから、すぐわかるよ」

優しい顔に、心が揺れた。

あなたは、
奇跡を信じますか?

「あたし…できた…みたい」

「えっ、何ができたって?」

奇跡って、
本当に起こると思いますか?

「赤ちゃん…」

「えっ?ホント?それって、奇跡だよ!」

あたし、
翔一さんに、
きつく、
きつく、
抱きしめられた。

それって、
もしかして、
喜んでる?

あなたは、
奇跡を信じたの?

「あたし、一人で生むから…」

抱きしめられながら、
泣いてた。

誰が何って言っても、
生むから…

一人で、
ちゃんと、
育ててみせるから…

「何言ってんだよ。俺がそんなこと許すはずないだろ?」

「だって…」

「優子とは別れる。君は心配しなくていい」

嘘でも、嬉しかったよ。

そんな、
夢見たいなこと、
起こりっこないって思ってた。

本当に…