「サキ?」

部活の後の片付け、
倉庫にボールしまいながらカズがあたしを呼んだ。

「何?」

「母さんから伝言。『今度の土曜、夕飯にいらして下さい』って」

「ふゎ~、ご招待?」

「や、か?」

「う~ん、約束しちゃったからなぁ~、でも、カズはいいの?」

「うん、俺はどっちかって言うと、来てくれると嬉しい」

「嬉しいって、恥ずかしくないの?」

「今日さ、母さんが笑ったんだ。母さん、サキが夕飯に来るの楽しみにしてるらしい」

「そっかぁ、じゃ、行かなくっちゃね。『喜んで伺います』って、お母様にお伝えして下さい」

「何だぁ、その、似合わない丁寧な言葉使いはぁ~」

「あたしだって、やっぱ、緊張すんだよぉ~」

「サンキュー、サキ。大丈夫、お前は俺の自慢の彼女だからさ!」

「うわぁ、何か、くすぐったいよ」

あたし、思わずカズの後ろから抱きついた。

「こらぁ、こんなとこでイチャついちゃ駄目でしょ!」

マユに見られた。

「だってぇ、今日は公園デートなしなんだよぉ~」

「仕方ないなぁ、じゃ、目つぶっててあげる。キスでも何でもしていいよ」

「おう、白石。じゃ、お言葉に甘えて…」

「カズ、駄目、止めてよぉ」

くるりと振り向いたカズを必死で跳ね除けた。

「何だよ、サキ、俺の熱いキッスが受けられないのかぁ?俺、傷つくぞぉ」

マユがクスクス笑ってる。

もう、カズったら、
そういうお調子者のとこは、
相変わらず。

大好き、
カズ!