秘密~「ひみつ」のこと

駅前から
市立病院行きのバスに乗せられて、
渋々病院へ向かった。

バスを見送りながら、
咲ちゃんのお母さんは泣いていた。

バスに乗ったのは、
咲ちゃんのお母さんの優しさが、
あたしに伝わったから。

母に会いたい、
そう思った訳じゃない。

受付で名前を言って、病室を聞いた。

「小林真知さん?内科病棟、3階、302号ですね」

3階まで上がって、
病室の前で立ちすくんだ。

本当に会う?

また、口汚く罵られるかも?

あんたなんか、
生まなきゃ良かったってさ…
生んで欲しいって、
頼んだ訳でもないけどさ…

「小林さんにご面会?」

後ろから声がした。

振り向くと、
小柄な看護婦さんが立っていた。

「えっ、あの…」

「小林さん、面会謝絶なのよ」

「えっ、そんなに悪いんですか?」

「今朝から、意識混濁で…」

「あの、あたし、娘です!」

思わず、
言ってしまった。

もう、
関わりたくなかった筈なのに…