ごく普通の毎日を少しの努力と微かな希望で生きてきた。今、その時間が果たして本当に、自分が過ごせた最良の過去なのかは疑う事は出来ても信じる事は難しい。携帯の画面には午前5時の表示。この季節じゃもう朝は始まっている。空の淡いグラデーションをまた24時間後に見上げるんだろう。そろそろ、部屋を出なければ。乱雑にものがばらまかれた汚い部屋を振り返るのは今日で最後にしたいものだ。車のキー、携帯にipodをバッグに放り込む。ずっと繰り返す憂鬱な心の声を、イヤホンから流れ込む音で掻き消してから、また現実の続きに戻ろう。