手術から1ヶ月が経過して、退院はいよいよ明日となった。

由樹はもう、パジャマを着ていなければ入院患者だとはわからないほど元気になっている。

毎日、手や足を眺めては、以前の自分の身体と大差ない義体に満足していた。

入院前、あれだけ休みがちだった学校にも今すぐ通いたい、友達ともおしゃべりしたり学校帰りにカラオケに行ったり・・・やりたいことは山ほどある。

それに、由樹はテストでは毎回1位を取るほどの優秀な生徒だったため、入院してる間に遅れをとらないように毎日できるだけ勉強もしていた。

父親が、退院の日に車で迎えに来ると言ったが断った。

病院から自宅まで、電車を乗り継いでも1時間もかからない。

リハビリも兼ねて丁度いい距離だからと、心配する両親を押し切って、自分の足で歩いて帰ろうと決めた。