入院は1ヵ月後、それまでに由樹そっくりの義体が出来上がるらしい。

首から下は全て交換すると、そんなことを医者が言っていたような気がする。

自分の首から下が造りものになるなんて、ちょっと想像できなかった。

そんな想像のつかないものに対しての不安と、手術への恐怖からか、入院するまでの1ヶ月は体調が優れないことが多く、学校も休みがちになった。

しかし、そんな不安と恐怖とは裏腹に手術はあっけなく終わった。

寝て起きたら手術は終わっていた。
そんな感覚だった。

それに手術が終わった今、身体はまだ動かせないものの、以前の自分と何が違うのか実感がなかった。
たいした科学・・・いや、医学の進歩である。

まだ少し慣れない部分があって、身体が動かしにくいことがある。
それと、義体には痛覚がないらしい。

それ以外は術後の経過も順調で、リハビリも上手くいった。

退院したら以前のように生活できると先生は言った。

お風呂も入っていい、食事もできる、脳だけは自分のものなので睡眠はとらなくてはならない。

ただ、月1回の定期健診を受けに来るだけでいい。

――なんだ・・・別に前と何もかわってないじゃない――

由樹は久しぶりに笑った。