「奏……」

 「カー君……」

 「木原……」

 「木原さん……」

 「カナデさん……」

 真っ暗な視界で、浮かび上がっては消えてゆうみんな――

 「みんな――」

 声は出ずに口が虚しく開閉する。

 「みんな――」

 触れようと伸ばした腕は何も掴めない。

 『数多の命の数多の意味を知れ、汝サーティンの真の子にして世界の死を司る者なり。汝の選択は世界の死の律を左右する、心に問え――』

 「数多の命の数多の意味……」

 急速に意識が遠のく中、その言葉だけ鮮明に聞こえた。