あの時に戻れたら【短編】

そして夜は1つの布団にギュウギュウ詰めになりながら4人でくっついて寝た。お父さんはできる限り手を伸ばして私達を皆抱きしめながら眠ってくれた。お父さんと一緒に…家族で同じ布団に寝るなんて生まれて初めてだった。



次の日は朝早くから旅館を出て、おばあちゃんの家に向かった。車内はいつもより明るかった。お父さんとの時間をみんな大切にしたくて、お父さんの取り合いだった。お父さんは嬉しそうに「おいおいお父さんは1人しかいないんだから、順番だ」って笑ってたよね。


そんな時間が本当に愛おしかった。



おばあちゃんの家につくと、お父さんは私達に近くの公園に行くように言ってきた。みんなお父さんと離れたく無かったけど、お父さんの顔は真剣だったから従うしかなかった。きっと、1人でおばあちゃん達に伝えたかったんだと思う。お父さんの両親なんだ…お父さんもこの時ばかりは子供に戻りたいんだよね。


1時間くらいするとお父さんから携帯に連絡が入って家に戻った。