あの時に戻れたら【短編】

渉はお父さんに頭にタオルを乗せられながら、ワイワイお風呂に行った。廊下から部屋まで渉の笑い声が聞こえてくる。


「渉、本当お父さん好きだね。あれは紛れも無いファザコンだと思うよ!」


「いいじゃない、可愛いわよ。まぁ、お母さん子にならなかったのは少し寂しいけど、いい父親だからね」


「本当…娘から見てもいい父親だよ。」


「加奈子もお母さんとお風呂行く?」


「いいよぉ〜背中流してあげるよ!」


お母さんと私はお風呂に行ってしまった。部屋に取り残された私は電気も付けれるはずもなく、暗い部屋で外を眺めていた。紅葉のライトアップが始まっていてとても綺麗だった。