あの時に戻れたら【短編】

「加奈子が産まれた時はな、母さんの出産に仕事で間に合わなかった父さんは、分娩室で加奈子を抱いた母さんに、ほっぺをプクーっと膨らませて睨まれてな（笑）その顔がよく加奈子がする膨れっ面に似てて、あの頃の母さんを見てるみたいなんだよ」


私はニコッと笑ってほっぺを膨らませた。


「そうそう、その顔だ。加奈子は母さんに似てきたな。」


「本当？じゃあ私もお母さんみたいに綺麗になるね」


「そうだな、加奈子は美人に育ったよ」


「じゃあ、お父さんみたいな人と結婚できるかな？」


「おぉ！？その言葉は世の父親はみんな言われて１番嬉しい言葉なんだぞ？父さん、嬉しいなぁ」


お父さんはお酒のせいじゃなくて、照れて顔を真っ赤にしていた。私も顔を赤くした。