あの時に戻れたら【短編】

皆がそろうとお父さんは私をチラッと見るとニコッと笑って、旅行のパンフレット机に置いた。

皆は机に集まって来た。もちろんもう１人の私が１番喜んでいた。

「伊豆？私、行きたかったの！ここ、思い出だよね、昔も行ったもんね」

お母さんも喜んだ。

「いいじゃない！また伊豆に行きましょう」

渉は…

「チビの時に行ったよなぁ、なんだ、海外とかかと思ったよ。」


ってふて腐れた。

でも、お父さんは喜んで次の日に旅行会社に手続きに行ってくれた。日にちは１０月の１５日、多分お父さんが自由に外出できるギリギリだったと思う。もしかしたら先生に止められるかもしれないけどお父さんはこの日に決めていた。１０月１５日はお父さんとお母さんの結婚記念日だったからだった。