あの時に戻れたら【短編】

少したつとお母さんと渉が帰って来た。

「あれぇ?加奈子、洗い物してくれたの?ありがとうね」


「お父さんだよ」


「お父さん!?あっ本当?珍しいなぁ、ありがとねぇ。」


「いや!いいんだよ、いつもやってくれてるからな」



お母さんは嬉しそうだった。渉はお父さんに学校の話や野球部の話をして楽しそうだった。お母さんが台所のごみ箱からケーキ屋の空き箱を見つけた。

「あれ〜?ケーキ食べたの?」


「えっ!?俺のは?」


渉がうらめしそうに私を見ていた。私はお父さんと顔を見合わせて「ねぇ〜」って笑いあった。お母さんは「何、この人達〜」って笑っていた。端から見ると、思った以上に我が家は仲がいいと思う。