泡姫物語

「えっ?修君?」

「ごめん愛子。さっきの足音、俺なんだ」

「ど、どういう、こと?」

「さっき愛子と別れた後、切符を買おうとしたら財布がなくて。愛子んちに忘れてきたみたいなんだ。それで電話したんだけど出てくれないから心配になっちゃって。最初は愛子を見付けてすぐ声かけようかと思ったんだけど」

あれは修君だった?どういうこと?悪ふざけってこと?

「じゃあなんでっ……」

「ごめん。愛子があまり夜道の一人歩きを怖がってなさそうだったから、今まで大丈夫でもいつ変質者が出てくるか分からないんだぞって身を持って伝えたくて。怖がらせて悪かった。ごめんな」

「そんなっ。心配してくれるのは嬉しいけど修君っ。それはっ」

さっきの恐怖が治まらなくて声がうわずる。
やばい。泣きそう。