泡姫物語

――ザッ、ザッ、ザッ。

嫌だ。またあの音だ。
これは気のせいなんかじゃない。
誰かいる。

私は急に走り出した。
足音も走って追って来る。

「嫌ぁ助けてっ」

恐怖のせいか、誰も聞こえないような小さな声しか出ない。
これは本気でまずい。
私、足も遅いし。走ったはいいけどもう疲れてきた。

誰か、誰か助けて。怖い。

そうだ。携帯。友紀に電話しよう。