艶やかな真紅の髪をメイドは梳かしていた


いつもより高価なドレスを着さされて、メノリは居心地が悪そうにしていた



「………お食事会」



儚げな美貌をしかめてメノリは呟く
支度を終えるとメイドは部屋を出ていく
鏡台に頬杖をついて、鏡を見つめた


鏡に映るのは、憂鬱そうな自分の顔と……その遥か後ろに映る、自分の騎士の無表情


「……………」


鏡ごしにチラリと青薔薇の騎士、ティア・ローズの顔を見る
最初に出会ったときのように緊張こそしないが、それでもあの無表情と無口はどうにかならないだろうか………


そう思っていると、アルメリア様にお呼ばれされた食事会の時間が迫っていることに気が付いた


しかたなく、立ち上がり無口無表情の騎士を伴って、メノリは部屋を後にしたのだった