「帰りませんよ」


開口一番リアはロットにピシャリと言い放つ
ロットは呆れたようにソファーに寝そべっていた


「………俺、まだ何も言ってないのに」

「何度もおっしゃるので、先に言わせていただきました」

「…………」



初めて会った日から二週間たった
毎日会うたびに『帰れば?』と言われるので、その前に言ってやったのだ
そんな気まずい空気のなか、給仕に来たメイドが気まずそうに紅茶を入れて行く

「し、失礼しました」


そそくさと出て行ってしまう
ロットは寝そべったまま紅茶に口をつける


「君はさぁ、なんで軍隊に入ったの?その若さで」


ちびちびと紅茶を飲みながら、ロットは問う


「私は………特に何も持ってはいませんでした。だから………自分で何かを掴みたかったんです」


この二週間、ロットは思わぬ鋭い質問をしてくる
それにリアはドキッとする事もある
まるで試されているような……



「そっか、わかったもう諦めるよ」



まるで読めない飄々とした態度で立ち上がり、ロットは政務のお勉強にいくのだった