「もしかして、義務?……なら、バカみたい……」
「…………メノリさ……」
その時だった
メノリの頬をなでるように冷たい風が流れた
その風に誘われたようにメノリは、近くの木を見上げる
「へー、君にとっては、バカみたいな事なんだね」
木の上から淡々とした声が降ってくる
「ロット様!」
後ろに控えていたセイルが太い木の枝に寝そべる人物を見て、声を上げた
纏う衣装は、東の国の着物に似た珍しいもの。袖がやたら長く、枝から落ちた手を隠してしまっている
そして、見下ろす黒い瞳と風に遊ばれたように揺れる紅い髪
「ヤッホー、セイル。待ちくたびれちゃった」
ロットはコロコロと笑ってメノリを見た
「申し訳ありません、私が至らないばかりに……」
シュンッと肩を落とすセイルにロットは、長い袖をヒラヒラと振ってみせる
「セイルじゃないよ」
「へっ?」
「君のおかげでね……水流の天使ちゃん」
「…えっ」
柔らかく笑う表情とは裏腹に、冷たい黒瞳がメノリを見下ろした


