きつく掴んだわけではない

嘘のように優しく掴んで、信じられないような力でメノリをベッドから引き上げた


「キャッ!」

「あっ!!」


セイルも声を上げたが、そんな事はお構い無しといったふうだ
そして、引き上げたメノリをいわゆるお姫様抱っこした



「ちょっ、ちょっと!下ろしてよ!!」


「暴れると落ちますよ」



足をばたつかせていたメノリは、うっと呻く
確かに、今暴れれば危ないが……


ティアは、そのまま歩いて離宮を出ようとする


「あっあの、騎士様……」

うろたえながらついてくるセイルにティアは言った



「セイルさん」

「はっはい、なんでしょうか」


「儀式はどこで行なうのですか?」



……………えっ?……



セイルとメノリは、真面目に聞いている隻眼の騎士をなんとも言えない目で見た