しんしんと雪が降り積もる所でティアは生まれた


ティアには親が居なかった


年の離れた兄が1人
けれど、その兄とも物心つくかつかないかに引き離される


寂しいと泣くティアに、親代わりに育ててくれた老婆達は悲しげに言った



「仕方ないんだよ」

「お前の兄は神に選ばれたんだよ……」



幼いティアにはわからなかった
泣きじゃくるティアにある老婆は言った


「皆には内緒だよ……村外れの湖に行きなさい。そこでお前の兄さまを呼びなさい」



皺枯れた手で指された場所に内緒で行った
よくわからなかったが、湖を覗き込んで兄を呼んだ


「にいさま……」



突如輝き始めた湖
そこに現れた兄は、優しく微笑む顔はそのままに、明らかに変わった所があった










「それは……」


微かに、驚きの予感でオーガレスの声は震えた


「ティア……君の兄の…………名前は?」



ティアは静かに
呟いた



「……マリオン」