また宛てもなくアルフレッドは歩いていた
しかし、自然と足は訓練塔に向いていた
そこに一人、休憩をとるミラがいた
こんなに遅くまで訓練をするのはミラくらいだ
ミラは壁に背を預け寝息をたてている
ふと気分が和んでクスリと笑う
起きる気配がなかったので隣に腰を下ろした
膝の間に剣を抱えて寝息をたてるミラ
それをアルフレッドは膝に頬杖をついて見つめる
その視線にもミラは気付かない
(そんなんで騎士になれんのか?)
騎士になる
女戦士の星、ベラトリックスのような、強い強い騎士に……
だから頑張っている
ミラは聖花隊の中で頭は良いが、肝心の剣の腕はあまり成績が良くないのだ
華奢な手を傷だらけにして頑張っている
愛らしい顔立ち、笑えば花がほころぶように綺麗だ
睫毛の下に隠れる緑の瞳が自分を映す時がアルフレッドは一番好きだ
そっと、額にかかるブラウンの髪を払う
きめ細かな肌から指は離れない……
そっと柔らかな線の頬を指先だけで撫でた
薄い桃色の唇に目が行くが、沸き上がる感情を抑えた
さすがに気が付いたミラは目を擦りながら呟く
「フレッド……?」
「おはよう、って言ってももう夜だ。お疲れ様」
何事もなかったようにニッコリアルフレッドは笑った
騎士を目指すなら、いつかは……ミラは離れて行くかもしれない
その桃色の唇も、その主人に笑顔を向けるのだろうか?
それは考えないようにした
考えると胸の内にある感情を抑える自信がないから……………


