六花の騎士




白い柱は繊細な彫刻がほどこしてあり、離宮内は高価そうな家具が置かれてある


いくつもの広い部屋があり、寝室らしき部屋へ入った


ティアは寝室の柔らかいベッドにメノリを寝かせる
特に外傷もない
ユリアはおそらく『雷』の能力を持っているのだろう


「電流で気絶させたのか……」


呟いて、ティアはベッドから離れる
特別な能力、赤い髪
王族はお飾りではない
政務はできなくとも、個々の能力で世界に安寧をもたらす



それが王族の役割
メノリを追いかけて林に入る時、キャリベルは言った



『明日から、色々な儀式があるわ。だからメノリ様には体調を調えておいてほしいの』



だが、結果的にメノリを混乱させてしまったようだ
と、その時だった
人の気配に気づいてティアは振り返る



「うぁーーーもうこんな時間ですーー!!」


どたどたと足音がしたかと思うと、廊下でうろたえる声が聞こえる



「あわわわっどうしよう……ドアがいっぱい、でも勝手に入るわけにも……」



ティアが寝室から出ると、神官らしき男性がキョロキョロとしていた



「あの、貴方は…」



振り返った男性は、神官の着る裾の長い服を着ている
優しげな面立ちに、眼鏡をしていた
そして深緑に近い黒髪



「あっ!青薔薇の騎士様ですか」



感激したように瞳に涙をためて、彼は微笑んだ



「良かったです。これでメノリ様も、儀式を行って下さいますね」


「えっ?」



ティアがキョトンとすると相手は、はっとする



「あっ、申し遅れました。私はセイル・ヴィンアードと申します。」



セイルはにこりと微笑んだ