六花の騎士




ざっと風が吹き、中庭の木々をなでていく


「あいつ…ティアのことは正直わかんねぇ」


視線をユリアに戻すと、少し驚いた顔をしていた


「仮にも剣を扱う者なら、見れば多少は力量がわかるもんだが……」


その人の立ち居振る舞いを見ればある程度、実力が知れるものだ
しかし、ティアはスキだらけに見える
見た目可憐なリアでさえ、その動きにはスキなどない


「じゃあ六花の騎士なのに弱いの?」

「そんなことねぇだろ。アルメリア様が連れて来た奴だし」

「……その、アルメリア様が何考えてんだか……」



王族と言っても血の繋がりはない
アルメリアは王族の中でも地位が高く近寄りがたくはある


「おいおい、んなこと言うなよ」


苦笑して言うと、どこか遠い目をしてユリアは呟いた


「……だってあんなに…
………暗い瞳をしてる……」



まるで深い闇のような……


レイドはその横顔を見る。幼い主はその視線に気付いたようで、すぐに表情をゆるめた


「まぁ、よくわかんないけどね……」


くせのある短い髪をくしゃりと梳(す)いて、ユリアは中庭から自分の離宮へと、歩みはじめる


「いきなり『水流の天使』担当なんてねぇ」

「そうだなぁ、ここ数年落ち着かない属性だしな」



同じくレイドが歩み、二人の影は中庭から消えた